フリーランスになったばかりだと税金に関してはまったく無知だという方が多いと思います。あまり深く考えてない方も多いのではないでしょうか?
しかし納税は国民の義務ですので、絶対に避けては通れません。税金を納めないとトラブルが生じたり国の支援やサービスを利用できなかったり、脱税で逮捕されたりします。
回り回って必ず損をすることになりますので、フリーランスに関係する税金は覚えておきましょう!
本記事の内容
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フリーランスに関係する税金の種類
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フリーランスが納める税金の計算
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結局フリーランスで税金はいくらかかるの?
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フリーランスの税金対策
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フリーランスで税金を払わないとどうなる?
- まとめ
フリーランスで仕事をする上で、「税金に関してこれを知っておけば大丈夫」という内容だけをまとめて解説していきます!
忘れたらまたこの記事を読んでください!
フリーランスに関係する税金の種類
フリーランスに関係する税金は下記の6つです。
- 所得税
- 住民税
- 個人事業税
- 消費税
- 国民健康保険
- 国民年金保険
1、所得税
所得税は個人の所得に対して掛かる税金で、儲けに対して一定の税率を乗じて国に納付します。会社員であれば毎月会社から天引きされますし、フリーランスであれば取引先から報酬を受ける際に源泉徴収税として引かれます。仮に引かれなかったとしても、確定申告をして所得税を計算し、その金額を納めることになります。
2、住民税
住民税は都道府県や市区町村が行う住民に身近な行政サービスに必要な経費を、住民に分担してもらうという主旨の税金です。こちらも会社員であれば毎月会社から天引きされますが、フリーランスは前年度の所得に応じて決定しますので確定申告で住民税を計算して、その金額をを納めることになります。
3、個人事業税
個人事業税は住民税と一緒で地方税になります。「個人事業者が事業を展開する上で、さまざまな行政サービスを利用している」と考えられるため、行政の経費を一部負担してください」という主旨の税金です。
4、消費税
課税売上高(消費税の掛かる売上)が1,000万円を超えると納付義務が発生します。例えば私は採用コンサルの仕事を1日5万円という報酬で引き受けた場合、クライアントから支払われる報酬は税込みで5万5千円になります。この5千円が消費税なので、国に納付します。(1年間の報酬合計が1,000万円を超えてなければ納付する必要はありません)
5、国民健康保険
日本では「国民皆保険制度」を採用しているので、国民全員が医療保険料を支払うことになっています。全員が支払うことでお互いをの負担を減らし、安い医療費で高水準の医療を受けられるようになっています。会社員であれば毎月「社会保険(健康保険)」として給与から天引きされますが、フリーランスでは国民健康保険に加入する義務があります。
6、国民年金保険
日本に住んでいる20〜60歳までのすべての国民が加入する年金制度です。会社員は厚生年金として給与から天引きされます。フリーランスは国民年金保険に加入する必要があります。厚生年金は給与によって保険料が変わりますが、国民年金の保険料は一律で、2021年度は16,610円です。
フリーランスが納める税金の計算
フリーランスは1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。
消費税と国民年金以外は、すべて前年度の「所得」に対して掛かります。
所得とは収入(売上)から経費を引いた金額です。青色申告で確定申告すると、最高65万円の特別控除を受けられますので、必ず青色申告を活用しましょう。
所得 = 収入(売上) ー 経費 ー 青色申告特別控除(65万円)
課税所得 = 所得 ー 各種控除※
※各種控除=医療費控除や生命保険控除、基礎控除など15種類あります。
※各種控除の金額は、所得税と住民税によって金額の基準が異ります。例えば「基礎控除」は、下記の通りです。
住民税:43万円 所得税:48万円
1、所得税の計算
課税所得に対して下記の表の税金が掛かります。
【所得税計算表】
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで |
5% |
0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで |
23% |
636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円 以上 |
45% |
4,796,000円 |
仮に、課税所得の金額が300万円の場合、
所得税 = 300万円×10% ー 97,500円 = 202,500円
2、住民税の計算
住民税は、「都道府県民税」と「市区町村民税」に分かれていて、さらに均等割と所得割に分かれているので、それぞれの合算で計算されます。
(均等割)
「都道府県民税」が1,500円、「市区町村民税」が3,500円で、合計5,000円です。
(所得割)
課税所得に対して、都道府県民税が4%、市区町村民税が6%、の合計10%です。
仮に、課税所得の金額が300万円の場合、
300万円×10%=30万円です。
住民税は均等割と所得割の合計、305,000円です。
3、個人事業税
所得税や住民税を計算する時の「課税所得」から、さらに290万円を引いた金額が個人事業税に掛かる課税所得です。
個人事業税の課税所得 = 所得 ー 各種控除 ー 290万円
この課税所得に職種に応じた税率3〜5%が個人事業税の金額です。
職種は下記の通りです。
区分 |
税率 |
事業の種類 |
|||
第1種事業 (37業種) |
5% |
物品販売業 | 運送取扱業 | 料理店業 | 遊覧所業 |
保険業 | 船舶定係場業 | 飲食店業 | 商品取引業 | ||
金銭貸付業 | 倉庫業 | 周旋業 | 不動産売買業 | ||
物品貸付業 | 駐車場業 | 代理業 | 広告業 | ||
不動産貸付業 | 請負業 | 仲立業 | 興信所業 | ||
製造業 | 印刷業 | 問屋業 | 案内業 | ||
電気供給業 | 出版業 | 両替業 | 冠婚葬祭業 | ||
土石採取業 | 写真業 | 公衆浴場業(むし風呂等) | - | ||
電気通信事業 | 席貸業 | 演劇興行業 | - | ||
運送業 | 旅館業 | 遊技場業 | - | ||
第2種事業 (3業種) |
4% |
畜産業 | 水産業 | 薪炭製造業 | - |
第3種事業 (30業種) |
5% |
医業 | 公証人業 | 設計監督者業 | 公衆浴場業(銭湯) |
歯科医業 | 弁理士業 | 不動産鑑定業 | 歯科衛生士業 | ||
薬剤師業 | 税理士業 | デザイン業 | 歯科技工士業 | ||
獣医業 | 公認会計士業 | 諸芸師匠業 | 測量士業 | ||
弁護士業 | 計理士業 | 理容業 | 土地家屋調査士業 | ||
司法書士業 | 社会保険労務士業 | 美容業 | 海事代理士業 | ||
行政書士業 | コンサルタント業 | クリーニング業 | 印刷製版業 | ||
3% |
あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業 |
装蹄師業 |
課税所得が200万円でデザイン業であれば、下記の通りです。
個人事業税 = 200万円×5% = 10万円
4、消費税
消費税は、「2年前の消費税に掛かる売上が1,000万円を超えた」時に発生しますので、フリーランスになったばかりの方はとりあえず無視してください。
また、課税売上高(消費税の対象となる収入)が1,000万円以下の方も消費税を納める必要はありません。
5、国民健康保険
国民健康保険の保険料は、世帯を単位として被保険者の人数や収入・年齢によって異なってきます。また、国民健康保険は各自治体によって運営されているため、自治体によっても、保険料が異なってきます。そのため、お住いの地域の市町村のホームページを確認する必要があります。
6、国民年金保険
国民年金の保険料は一律で、2021年度は16,610円です。
結局フリーランスで税金はいくらかかるの?
前述の計算を参考に、年収(売上)500万円で算出してみましょう!
年入(売上) |
500万円 |
500万円 |
500万円 |
500万円 |
経費 |
ー100万円 |
ー150万円 |
ー200万円 |
ー250万円 |
青色申告 |
ー65万円 |
ー65万円 |
ー65万円 |
ー65万円 |
所得控除 |
ー100万円 |
ー100万円 |
ー100万円 |
ー100万円 |
課税所得(ここに税金が掛かる) |
235万円 |
185万円 |
145万円 |
85万円 |
所得税 |
137,500円 |
92,500 |
72,500 |
42,500 |
住民税 |
240,000円 |
190,000 |
150,000 |
90,000 |
国民健康保険 |
206,355円 |
170,705 |
142,185 |
99,405 |
国民年金 |
199,320円 |
199,320 |
199,320 |
199,320 |
個人事業税 |
なし |
なし |
なし |
なし |
消費税 |
なし |
なし |
なし |
なし |
合計 |
783,175円 |
652,525円 |
564,005円 |
431,225円 |
フリーランスの税金対策
フリーランスで税金を抑えるための対策は、ずばり「節税」することです!
【経費】
前述の表で分かる通り、経費が50万円上がると、税金は10万円以上減額します。
国税庁に記載されている経費の基準は下記の通りです。
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
これで分かる通り、
事業に関係していれば経費になり、明確に何の項目が経費かは決められていないということです。
パソコンを買ったらそれが仕事で使うなら経費です。クライアントと会食したならばその会食が仕事であれば経費です。しかもそれが仕事かどうかは国も判別できません。
とにかくあらゆる出費を経費にできるので、常に領収書やレシートは集めておきましょう。
【青色申告】
青色申告をする事で自動的に65万円控除されます。それ以外にもフリーランスで損をしないための制度がありますので、必ず青色申告を活用しましょう。
※参照:【青色申告承認申請書】フリーランスで開業届を出す際には一緒に青色申告承認申請書も出しましょう!
フリーランスで税金を払わないとどうなる?
普通に脱税です。
儲けが多ければ多いほど忘れたタイミングで税務調査がやってきます。それこそ3年から5年程、無申告が続いてからまとめて指摘しに来ることも多いです。確定申告をしなくても必ずバレますので税金は支払いましょう!
※参照:フリーランスで確定申告してないけど大丈夫?どんな状況でも確定申告は必ずしましょう!
まとめ
会社員時代は税金は会社から自動的に天引きされていましたが、フリーランスでは自分で確定申告しなければいけません。
自ら支払うことで、なんとなく「損をする気分」になるかもしれません。その気持ちはすごく分かりますが、税金を支払わないと後々必ず損をします。気分的にも後ろめたい気持ちが残り、不安を抱えて生活する事になり身体的にもよくありません。
確定申告をしっかりして税金を納めて、気持ちよく日々の生活を送りましょう!