営業の仕事をしてる人が一番悩んでることは結局のところ、「契約が取れるかどうか」だと思います。
特に新規開拓の営業は、BtoCでもBtoBでも大変ですね。
「営業で結果を出す=契約を取る」ためには様々な要因が必要ですが、今回は新規営業時のトークの基本的な流れに焦点をあてて解説していきます。
本記事の信頼性
この記事を書いている私は、元々営業会社から社会人のキャリアをスタートし、BtoC,BtoBの様々な新規・既存営業(有形・無形問わず)を経験し、東証一部上場企業のグループ会社の代表をしておりました。営業キャリアは20年です。
教えられた事を忠実にこなす真面目な人ほど、営業トークがうまくいかない事があります。
「マニュアル通りにトークしてもうまくいかない」という人はこの記事を参考にしてください。トークの組み立てを少し変えるだけで解決できることはたくさんあります。
アイドマの法則について
先日とある営業セミナーで久しぶりに「AIDMAの法則」についてレクチャーしていました。アイドマの法則について説明を聞いたのは15年ぶりくらいしょうか。営業してる人は一度は耳にしたことがあると思います。
「アイドマの法則」とは、人が何か物を買う時の購買心理プロセスですね。知ってる人も多いと思うので、簡単に説明しておきます。
【アイドマの法則における5段階プロセス】
- Attention(注目)→ CMなどを見て商品に注目し、
- Interest(興味) → その商品に興味をもち、
- Desire(欲求) → その商品を欲しいと思い、
- Memory(記憶) → その商品を記憶に残し、
- Action(行動) → その商品を購買する。
上記の頭文字のA・I・D・M・Aを取って、「アイドマの法則」となっています。
セミナー講師は、「人が何か物を買うときは、こういう順番を経て買うんですよ〜」と教えてました。
これをそのまま教えたところで何の意味もありません。
これを聞いたところで、「へ~」って思うだけですよね。
ましてや、「今はネット社会なのでAISAS※ですけどね」などと言っていましたが、そんな事は営業研修では大切ではありません。
※AISASはこちらです
- Attention(注目):商品に注目する
- Interest(興味) :商品に興味をもつ
- Search(検索) :商品についてネットで検索する
- Action(行動) :商品を購入する
- Share(共有) :SNSなどで共有する
「アイドマの法則」は基本的にマーケティングで用いられ、「そのターゲットに対してどのような広告を打てば良いか?」の参考に活用される事が多いです。新商品なら知ってもらうための広告をメインに打ちますし、認知度が高い商品なら買ってもらうために値下げしたりキャンペーンを全面的に押したりします。
しかし、このアイドマの流れは営業トークをする時も同じです。そして、テレアポや対面営業など直接消費者に営業する時に営業マンが知りたいのは、
- Attention(注目) → 話を聞いてもらう体制をつくる最初のトーク
- Interest(興味) → 興味をもってもらうための営業トーク
- Desire(欲求) → 興味はあるけどまだ欲しいと思ってない人への営業トーク
- Memory(記憶) → 欲しいと思ったけど忘れてしまった人・忘れさせないための営業トーク
- Action(行動) → 最後の背中を押すトーク
これですよね!
1の段階の人に3のトークから入ってもダメですし、逆に4の段階の人に2からトークしても聞く方は面倒ですね。これが当たり前のようで、できてない営業マンが非常に多いのが現実です。
上記のアイドマの法則を踏まえてトークの流れを解説します。
新規営業のトークの流れ(テレアポ・電話営業)
新規営業で一番難しいのはアウトバンド営業です。いわゆる飛込み営業です。逆にインバウンド営業はある程度興味のある見込み客が中心になるので、今回はBtoBのテレアポを例にトークの流れを解説します。
【商材例】BtoB LED照明のレンタルサービス
1、Attention(注目) 話を聞いてもらう体制をつくる
営業電話では、最初のフロントトークがもっとも重要です。最初に「ちょっと話を聞いてみようかな」と思わせるトークをすることで、すぐに電話を断られることはなくなります。ポイントは、長々と話さず簡潔に、できればワンフレーズで話を聞きたくなるようなトークをしましょう。
文面例
「弊社は経費削減のお手伝いをしてる会社なんですが、今回は電気代を確実に削減できるサービスのご案内でご連絡しました」
2、Interest(興味) 興味を持ってもらう
次に、お客様に興味を持ってもらうためのトークをします。ここでは小さな「Yes」をたくさん貰えるように心がけましょう。
これを「Yes誘導型トーク」と言うのですが、必ずお客様に「はい」と言わせる質問をしていきます。お客様が「Yes」の答えをするたびに、製品やサービスに対する興味度が高まっていきます。
恋愛でも5回連続で「Yes」言わせる事ができれば6回目は必ず「Yes」と答えてくれると言われています。
例えば、「今度ご飯一緒に食べに行こうよ」と誘った時に「コロナが落ち着いたらね〜」と断れるケースでも、
1回目「今コロナだから外食が減って食事は家が中心じゃない?」→「そうだね〜」
2回目「積極的に誘いづらいっていうのもあるよね?」→ 「わかる〜」
3回目「でも一人でばっかりご飯食べてると誰かと話したくならない?」→ 「なるなる〜」
4回目「外で焼肉とか食べたくなるでしょ?」→ 「なる〜」
5回目「焼肉とか食べたくても一人で家でやらないもんね?」→ 「やらないね〜」
6回目「夜は難しいから今度休みの日にランチで焼肉食べに行こうよ!」→ 「行こう行こう!」
となります。
文面例
「電球が切れた時に取り換えるのは結構手間ですよね」
「毎月の料金は少しでも安いほうが良いですよね」
3、Desire(欲求) 欲しいと思ってもらう
興味を持った段階で、製品やサービスの詳細を説明します。興味を持った後なので話はしっかり聞いてくれます。どんなサービスで導入したらどんなメリットがあるのか、詳細を伝えることで「導入したい」と思ってもらいます。誤魔化したりあやふやな説明ではなく、しっかりと誠実にサービス内容を伝えましょう。
文面例
「今回はレンタルのサービスですが、レンタル中に電球が切れても無料で交換できます」
「レンタル料は掛かりますが、レンタルの料金よりも電気代が下がるので、トータルで○○円の削減になります」
「工事も全てこちらで負担しますので、お客様に何かやってもらうことはありません」
4、Memory(記憶) 話した事をしっかり検討してもらう
興味を持ち、欲求の段階でサービスへの関心度が高まった人は最後まで話を聞いてくれます。ここでアポイントの約束を取るか資料を送るなど、次に繋げるトークをしましょう。資料送付の際はなるべくメールにしましょう。後々アプローチしやすくなります。また、資料を送った数日後に電話&メールで再アプローチを行いましょう。
文面例
「御社の状況もお伺いしたいですし、一度是非お打ち合わせの機会をいただけないでしょうか?」
「お忙しいようでしたら今お伝えした内容の資料をお送りいたしますので検討してみてください。メールでお送りしてもよろしいですか?」
5、Action(行動) 契約してもらために背中を押す
テレアポの場合は4の段階でアポイントが取れるます。このAction段階の契約はアポイント後の連絡か、電話だけで契約が取れるような製品・サービスを営業する時の連絡という想定で考えてください。
最後は契約を決意してもうために「お客様の背中を押してあげる」トークになります。
文面例
「LEDに切り替えた日からすぐに経費削減になりますので、早ければ早いほどお得です」
「万が一気にいらない場合は、解約しても違約金などは掛かりません」
「お得キャンペーンが今月までなので是非このキャンペーンをご活用ください」
まとめ
このように、「AIDMAの法則」にある5段回のプロセスをしっかり理解することで、相手に何を伝えるべきかが分かります。サービスを知ってる相手には2を飛ばして3の中で他社比較を中心に話したり、すでに何社かで検討してるようでしたらすぐに4や5の段階の話をした方が良いです。先方の状況に応じて臨機応変に対応するために、まずはしっかりこのプロセスを理解しましょう。
究極の営業トーク
営業には誰にでも通用する完璧なトークマニュアルはありません。なぜならお客様が100人いたら100通りの接し方があるからです。
究極の営業トークとは、常に相手に合わせたトークをすることです。「その人にどんな内容をどのタイミングでどのような話し方で。。。」というのが瞬時にわかれば一番良いですよね。まずは今回のようなトークの流れの基本をしっかり体に染み込ませる事が大切です。
そのためには実戦での経験はもちろん必要ですが、日々の練習だけでも十分身に付けられます。そうすれば売る商品やサービスが変わっても、すぐにトークスクリプトを作れるようになりますし、頭で考えなくても話すべき順番が自然の会話の中で勝手に出てくるようになります。